あなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか?

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というわけで、桐野夏生センセイの「日没」を読みました。
舞台は現代の日本。
ヘイトスピーチ法と時を同じくして、小説に含まれる問題表現をビシビシと取り締まっていこうという法律が、人知れず成立しており・・・。
ポルノ小説家のマッツ夢井(♀)は、突如「文化芸術倫理向上委員会」(ブンリン)なる政府組織によって、療養所という名の僻地の強制収容所に収監され、社会に適応した小説を書くように更正を迫られる・・・
というお話。
何をもって表現の自由というのか、差別だなんだの「不適切にも程がある」ことなのか、線引きが難しいところだけど、セクハラでもなんでも取り締まる側、訴える側の言ったモン勝ちで問題になってしまうというのは、既に日常にゴロゴロとありふれていて。
お上がNGだと言えば、人権無視で強制収容なんて許されるのかというと、これもお隣の国では当たり前ですし。
ディストピア小説なんてフィクションだと思ってたら、今、正にそこにある、目を向けたくない現実なのですね。
人生死ぬまでの暇つぶしと思えばこそ、それこそパトスがないと煮え切らないわけで。
迷惑かけなきゃ好きにしていいと思うけど、今の世の中どうかなあ・・・。
ネットを始めとするメディアが異常発達して、関係ないこと面白がって騒ぎ立てて。
行き過ぎてると思うこともよくあります。
そんな考えさせられるテーマを扱いつつ、終始全然救われないモヤモヤした気持ちをずっと抱えたままでありながら、続きが気になって最後まで一気にグイグイ読めてしまうストーリーでした。
桐野先生の作品は初だったのだけど、押し付けるでもなく、引いてるのでもなく、すっと自分の意識の隣に寄り添うように、いつの間にかすっと入り込んでくるような感じで好ましい。
あ、センセイが原作の映画の東京島はとても面白かったですぞ。
いかにもブンリンに取り締まられそうですけど。



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