湊かなえ先生の「往復書簡」を読みました。
収録されている「20年後の宿題」は現在公開中の
吉永小百合主演の映画「北のカナリアたち」の原案になったお話だそうです。
って、写真を間違えました。
なんだこれは!
というわけで、食えない女です。湊かなえ先生。
その名は耳にしたことがあったのですが手に取ったことはなく。
「オデッサの階段」で、面白い人だなあと思って本屋さんに行ったら
有名な「告白」は置いてなかったけど、この作品があったのですね。
「前略、谷口あずみ様」
よく、プロローグ部分が唐突に手紙とか独白で始まる作品がありますが
本作品も例によってお手紙で始まります。
その理由は後で明かされますが、今時メールではなくお手紙です。
で、ふーん手紙かぁ、と思って読み進めてみれば、今度は返信。
その後、また返信・・・ずっとお手紙です。
そうです、往復書簡というタイトルの通り、本作品は最初から最後まで文通なのです。
まず、ここで最初の驚き。
そして、吉永小百合主演の感動作の原案!
(観てないけど、北のカナリアたちなんてタイトルからしてもう感動作じゃないですか)
だというから、20年前の学生時代の思い出にしがみついた、ぬる~い話かと思いきや
なんと、これ、ある種のミステリーなのです。
なにも殺人事件が起きて、探偵とか手品師とかが出てきて
密室トリックを鮮やかに解決、お前の悪事は全てまるっとお見通しだ!
というのだけがミステリーではなくてですね。
十年後の卒業文集、二十年後の宿題、十五年後の補習(一年後の連絡網)
という、4つの短編から成っているのだけど全体を通して
過去のすれ違いとか誤解とか嘘とか、それによって生じてしまった軋轢とかが
解きほぐされ、赦されていく様が手紙を通じて語られていくのだけど
その謎解きが、ミステリーかといえば、それだけじゃない。
友人、恋人、夫婦。
身近にいる大切な人たちとの繋がりをテーマにしたエピソード・・・というわけでもなく
意外と人間の独善的で、本質的に持っている黒い部分がさらけ出されるところもあり
そういうお話なのかと思ってたら、またまた
あ、騙された!
読者も知らないうちに先生が仕込んだビックリ箱にあっと言わせられる。
トリックは読者に向けても仕掛けられているのです。
これがまた心地よい驚きで、やるなあ・・・とにんまりしてしまう。
そんなわけで、手紙による独特の語り口にはじまり
ヒューマンストーリーなのか、ドッキリ番組なのかわかんないお話で
不思議テイストな作品なのですが、本質的に悪い人は登場しないし
なんというか、この世はやりきれないけど救いが無いわけではないよなあ、
と思わされる興味深い作品でした。
あ、ミルクキャラメル味のポテチはお薦め出来ません。

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