アラビアの夜の種族

昨年末 「ベルカ吠えないのか?」 との熱病のような邂逅を果たし
未だ興奮も冷めやらぬまま手に取ったのは 「アラビアの夜の種族」 。

本が、物語が、一人の重要な主人公でもあり
書に耽溺し、眠りを忘れ、夢の住民となり、身を滅ぼす・・・
そんな一場面が姿が描かれているわけだけど、
僕は気が付いたら、小田原にいた。

はて、仕事を終え、新宿から小田急で家路についたはずだが???

ありえない、認めたくないが、現実は、
今この時刻からは自宅には帰られないと言う事だ・・・。
屹然たる事実として。

というわけで、古川日出男。
この男、面白すぎる故、注意なのです。

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古川日出男の4作目となるこの作品は、
作者不詳の名著 "The Arabian Night Breeds" の
初の日本語訳(に独自の装飾と脚注等の加筆を施したもの)
として綴られたものだ。

時は聖還暦1213年(西暦1798年)。
フランスの若き皇帝ナポレオンはカイロへと迫り・・・。

侵略の凶兆を迎え撃つ秘策はただ一つ。
それを読むものに災いをもたらすという伝説の書物
「災いの書」を探し出しボナパルトに贈るのだ。
表の歴史からは葬り去られた、権力者を滅ぼし続けてきた、砂の年代史。

偽りの、架空の、空想の物語・・・。

そう。
なんと、災いの書そのものの存在が、空想だったのだ!

夜のカイロの街に集った夜の種族。
美しき語り部の手によって、今、物語は捏造される・・・。

そんなわけで、剣と魔法と愛と裏切りの壮大なファンタジーが
語られ始めるわけですが、とにかく勢いがものすごい。

ベルカでも感じさせた、燃え滾るようなコトバの膂力が
3冊、1051ページの長さを感じさせず、次から次へと、
貪るように紙面をめくらせるんです。

そして、後書きまで読んで、ふと、気づかされるはず。

物語の中の空想の物語、の物語・・・。

その物語は想像以上に大きく、最初から・・・。
実は、読者自身が、もう一枠大きな物語という魔法の中にいた!
そんな合わせ鏡のような、トリックも、遊び心が利いて楽しいです。
気持ちよく騙されたぜコノヤロウってね(笑)

と、こんなに面白いのも、それもそのはず。
調べてみたら筆者の古川日出男センセイって、
あの元祖ダンジョン系RPG「ウィザードリィ」の外伝を手がけたお方だそう。
そんなわけで、剣と魔法(と迷宮)の物語の腕前は折り紙つき。

皆さんも、ぜひこの本を手にとって、夜の種族に。
それを欲するものの前に現れ、語り伝えるものに。

#追記
読む前にうっかりググったりしないことをオススメします。
検索結果のサマリの時点で重大なネタバレが見受けられるので(^-^;

コメント

  1. かじか より:

    名手だよね、たまごさんは。
    日本古典以外のファンタジーモノに興味ないあたしのサイフの紐を緩めるんですもん。
    とりあえず身近なファンタジー好き読書家に、、、
    だってあたくしは生きてタペストリィをおってるんすもん読むのが怖いのです。

  2. たまご より:

    >かじかあさん
    名手だなんて、いやん、ありがとうございます(〃〃)
    タペストリィを織って生きているだなんて、また詩人ですねえ。
    何故か、聖痕(スティグマ)をしょって生きている、と読み間違えたのは、ナイショ(笑)
    ぜひ、手にとって見て下さい。
    合言葉は、あらゆる夜を生きよ、です。
    #あ、うっかり、ググったりしないのをオススメします。
    超重大なネタバレが散見されますので・・・。

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